細長い建物

並里義明建築研究所

2015年04月14日 14:12

この建物の幅は1.8mしかも4階建て、薄肉ラーメン構造。日本ならではのこの細い長屋向けの土地割。採光を前面に取り、広がりを持たせるためにフロアを一部ずらしている。ヨーロッパ辺りでは建物はくっついているものの構造は単独で自立しなければならない。日本人の構造の感覚で言うと層間変形分は離したいところで、突っ込みどころ満載。「何百年もそれでやってるんだから硬いこと言うなよ。」
 
細長いプランで有名なものにコルビュジエのマルセイユにあるユニテ・ダビタシオンのユニット幅が4.19m。
 
建築家安藤忠雄の設計した住吉の長屋がある。それは3.3m。
 
これを見るといかに細い幅なのかが分かる。かつて最小限住宅を競い合った時期がある。それとは違った分野の幅の細さ競争。女性雑誌のCG加工された有り得ない細さを追求するのにも似ているが、状況は少し違う。細長い土地、傾斜の土地は安く売られる傾向がある。お金があれば広い土地を買うだろう、施主がこの土地を購入し、住まいの計画を建築家の手を借りて最高の付加価値を与えた一つの結果である。

Commented by 並里義明建築研究所/ AYN


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