AYN:

建物からウィルス感染。

住宅、施設問わず排水パイプにはN字型に曲げられた部分が存在します。これを排水トラップといいます。一見何でこんな詰まりそうな構造になっているか不思議に思う人もいるかもしれません。実はこれが衛生上非常に大きな役割を果たしています。

トラップは常に水が溜まる構造になっていてN字に限定されたものではありません。トイレの底に溜まっている水もそれでその水を封水（ふうすい）と言います。この水が溜まっているお陰で汚水から発生するガスや害虫が屋内に進入を防いでくれます。

封水の水が無くなることを破封（または封水破壊）と言いますが、原因が色々研究され設計の時にはそうならないよう配慮され設計されています。トラップを二重にすると安全ではなく、逆に封水破壊を起こす原因になります。

設計や施工の原因では無く維持管理で封水破壊が起こることがあります。その原因の一つは単純に蒸発によって水が無くなると言うことです。長いあいだ水を使わなくなったシンク。水洗いを長いあいだしていないトイレ。長い旅行の後。日頃綺麗で水洗いしない場所の排水口。使わなくなる理由は様々ですが排水に水を流さなくなると封水破壊が起こりその部屋の空気は悪臭が漂います。

2003年に問題となったSARSウイルスはこの封水破壊が原因の一つだったと指摘されている。香港の高層住宅で空室が多く封水が破壊し室内の空気が汚染。換気扇等を通じ住人のいる他室をさらに汚染。

原因が分からなかった悪臭がこれで解決することもあるかもしれませんね^^

---並里義明建築研究所/ AYN---
http://namizato.jp