AYN:

オペラハウス
　
この建物は1959年着工1973年竣工という問題建築である。総工費は予算の14倍に膨れ上がったという。こうれは現実的な負の側面であるが何よりも重要なのがこの計画がコンペを勝ち取り、長い時間をかけてでも完成させようと思わせる計画であったことは間違いない。魅力が無ければあっさり変更される。完成後はシドニーのみならずオーストラリアのシンボルとしても親しまれ、また世界で最も建造年代が新しい世界遺産にもなる。この経済効果は計り知れない。
　
この建物の影響力は大きく、この構造設計に携わったアラップは後に世界で最も知名度のあるエンジニアとなった。彼は基本設計の案では施工的にも費用的にも合理性が欠けるとの理由で放物線形状から現在の球面を利用したものへ長い時間をかけデザイナーを説得した。屋根はプレキャスト部材1498個からなるが半径75mの球面の断片のみで統一することでこの部材をわずか12種類で構成することに成功した。この建物は構造の事が大きく取りだたされるが、屋根のタイルの納まりは見事に丁寧である。

Commented by 並里義明建築研究所/ AYN

タイルの納まり



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