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2017年04月05日

アスクル倉庫火災から何を学べるか?建物の事は建築士に!

アスクルの事故は本当に残念ですが死者が出なかったことが本当に幸いだったと思います。とはいえ4万5千㎡が燃えてしまった。この点で気になるのは何故にそんなに燃えてしまったのか?

建築に関わる人はすぐわかるのですが建物には火災を延焼させないように防火区画というものが設けられていて少なくとも3000㎡以上は燃え広がらないようにできています。これは役所、病院、ショッピングモールも同様です。防火区画は本来絶対に火を通しません。日頃建物として使うにはあまりに不便なため通常は隠れています。火災時に感知器と連動して扉やシャッターが閉まる仕組みになっています。天井の上を通るダクトでさえ自動的に閉じる仕組みになっています。

今回の火災は基準の15倍の面積が燃えたので防火区画が機能していなかったのは明らかです。防火区画が機能しない主な理由は二つ

●機器の不具合により扉やシャッターが閉まらない。(油切れ、サビ等物理的問題)
●障害物により閉まることができない

ではないかと思います。今回の事故では後者の障害物が延焼の原因だったとされています。シャッターは下がっているのにベルトコンベアーが邪魔をしている箇所が数か所発見されています。今回の倉庫は1Fから3Fまでをつなぐ全長8.5kmに及ぶ巨大物流施設です。近年物流が全自動で流れていく様子はよく見かけますが、ほかの施設も指導を受ける可能性があります。

今回スプリンクラーは設置されていたようですが延焼の話とは別問題なので割愛しました。また、窓が小さく消火活動が困難であったことも報道されていてこれも延焼を広げた一つの原因と言えます。窓の小ささは違反していることは無くこのような建物は多く存在するので何か新しい基準ができる可能性もあります。

実はこの延焼問題は他人事ではなく私たちの身近な施設でも起こる可能性があります。施設の管理者は設計士や消防署からの指導で防火扉やシャッター機能に対しての障害物を置かないよう指導を受けることがあります。しかし末端で働いている人に周知徹底が行き届いていない様子で事務所や店舗では机、陳列棚や商品がシャッターをまたがっている箇所を見るケースがあります。防火区画は明らかに火災時には機能しません。

指導員や管理者だけではなく日頃使う皆がそのような目線でシャッターや扉を見ることが建物をより安全にしていくものと思います。

アスクルは東北震災で本社が被災し企業努力し安全には十分配慮していた様子で、気の毒でなりません。建物に何かを設置する際、知らずに違反してしまうこともあるかと思います。建物の事は建築士に確認する方が賢明だったのかもしれません。

---並里義明建築研究所/ AYN---
http://namizato.jp

写真:AYN ※アスクルとは関係ありません。
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Posted by 並里義明建築研究所 at 12:03│Comments(0)AYN建築デザイン的観点
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